310

砕き損ねた矛盾
永遠をかき集めて
人生はドミノ倒し
迂闊な不幸に躓いた
やむなく一生は始まる
証拠が指し示した最愛
僕はきっと辿り着けない
褪せない痛みがもつれる
神なんて存外怠惰なもので
光が落ちていませんでしたか

320

今日も死にに来ました
自称死にたがりです
亡骸だけが笑ってた
殺し方さえも託してく
遠退く死に吐き気がする
物騒なものを向けるなよ
手当たり次第に首を絞める
いつかその輝きに殺される
墓前にはアイビーを捧げよう
最後は死んでもいいよ

330

願うように夜をなびいて
天使を与える
欲望の真似事をしようよ
褪せない光があるうちに
そこに意味を託す必要は無い
ゴミ捨て場で産声を上げる
宵の舌なめずりが聞こえる
物足りない心の絶叫
永遠の夜を泳ぐ
君と灰燼かいじん
灰燼に帰す…焼けて原形をとどめないほどになる。 あとかたもなく燃え尽きる

340

その罪にきみの名を
どうかとどめを刺して
ここでも死を探している
狂人しかいない部屋
健気なフリがお上手で
画面の君に慣れすぎた
これ以上あげられない
痛む心に気づかないまま
わたしに誓ってください
影だけでいいから抱いて

350

朝日が僕を抱いて
夕日が君を捨てた
朝月夜が嗤う
遅すぎた残月
教会に主はいない
ただの伝言係だよ
優しさ以外は全て嘘
病みきれぬ微熱
おままごと夫婦
ぜんぶ捨てておいで

360

余った世界の寄せ集め
そして君へ還る
優しさの定義
会いに行く理由
愛におののき恐怖に酔う
君の涙が忘れられない
選んだ道に責任をもて
世界はただそこに在るだけ
そんな戦慄で事足りるのか
知らぬ存ぜぬ愛など要らぬ

370

五感の故障を待て
人生の輪郭が見えた
奇跡に触れるまでは
罵倒を正義で包みます
燃え尽きた身ぐるみの中身
その澱みはもらって逝くよ
スプーン一匙の砂糖で救われる人
流暢に生きようとしただけマシか
わたしだけがあなたを赦すのよ
応えたくないから期待しないで

380

喪失は眠りを伴って現れる
彼女の隣に重力はない
魂は奥底で腐っていく
歯形の上に重ねて
不可能を炙る
咬むなら可愛く
人は神のレプリカ
明け方の無防備な首筋
暇に飽いたら帰ってきて
誰からも祝われなかった朝

390

思いのほか正常な冒涜
筋書きを知った演劇
神が嘲笑う
真意などどうでもいい
悪意は空気を伝う
原型を留めたままの死
言葉隠して知り隠さず
数えられるだけの方便
好んで幸福を放棄しよう
それは白からやってきた

400

甘い永遠を願った
香りでぜんぶ蘇る
別れを悦ぶ歌うたい
水溜まりで弾けた初恋
あなたがくれた幸せを
君の全てを飲み込む前に
どうかこの指をほどいて
僕と君と、その他もろもろ
この想いに当てはまる言葉は
恋人のフリから始めませんか

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