優しさと諦めの違い
時の記憶を超えていけ
ひどく間の抜けた理由で
不規則に昇華する悲劇
無表情の音律に翻弄される
死者の分だけ豊かになる世界
わたしが最初にすきになったの
置き去りの心臓は黙って脈打つ
ただの一度でも愛しいなんて
何かの間違い万々歳
あなたが朝を連れてくる
極論でしかきみを理解出来ない
譲歩を愛だと信じるあなたへ
恋しかった日々を忘れぬよう
その百年を越えてゆこうか
怠惰と欲望を信とする
静かで退屈で長ったらしい夜
幾度も繋ぎ止めた糸
歓喜する花唇
花唇…はなびら、花弁、美人の唇
ふてぶてしい恋心
感傷だけの涙
君と奇妙な夜
欲情を欲する
今この時が哲学
しなやかな皮膚
目もくれず火中へ葬る
イン・ザ・ナラタージュ
ナラタージュ…ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法
あなたの屈託はでたらめ
めまぐるしく絶え間なく愛して
目を瞑れば不幸なんて映らない
祈りの真似事
それでも必要として
廃残なくして実らぬ恋
廃残…人生に失敗して落ちぶれること
呼吸に合わせて世界が廻る
この恋はお口に合わないようで
捕らえられなかった面影に拍手
夜さえ目を背けるだろう
ぼくらの証は消え失せた
ただ誘われるままに
目の前のそれは道ではない、過去だ
野晒しの獣にも似た
転がり落ちるような愛
上手に騙されてくれるならば
このまま地獄まで僕と来て
絶望を音律に変える
君は白昼夢が好きだった
その傷を目印に
痛みを感じなくなった空虚さえ
愛しい、愛しいと咽び泣く愚かな心を
信じると誓って、誓ったのなら信じて
見せたい命がある
真綿で首を絞める
悪魔は罪状を篩う
ろくでなしの持続性
きみの網膜は気味が悪い
存在していないのと同じ
人間活動の記録
非自己率を極める
けんもほろろな命
酔い問答の欲問答
ようやく夜が完成する
役立たずのままでいたい
暗闇を囁き沈黙を交わす
確信を消す仕草
理想論とその副作用
自衛細胞のほほえみ
行き過ぎた称賛
向かう先に果たして夜はあるのか
この浅ましい夜をどうしてくれよう
真実をスパイス程度に織り交ぜて
愚かしい場所で微笑んで
いろはにほへとで散っていく
行く道は雲に聞くさ
地獄までの道標
取り返しのつかない年月を経て
ちりぢりになって声を失った
確かに死にたいと思ったのに
誰も知らない処で生きたい
生き抜いてみたいんだ
痞える情欲が口を塞ぐ
痞える…胸がふさがった感じ。邪魔なものがあったり行きづまったりして、先へ進めない状態になるのこと
君の名はきっと夏の季語
季節は懐かしさを捨てて
あの日の心音を返すため
語り継がれなくなった伝説
意に介さぬ場所で告げる
完璧でいることには疲れた
慣れた口振りで同情を誘う
またしても安らかに眠るのかい
嘘は見破られるためにあるみたい
朝日は雨のごとく、夢は塵のごとく
愛にかこつけて堕落する
救いようがない生き方
心臓から春が芽吹く
善意も偽善も全うせよ
自分にだけ優しくなれない
守られた分だけ後悔を吐く
言いなりになりたいお年頃
満ち溢れている不可解な謎
あるとき優しさの概念が消えた
否定し続けなければ生きられぬ