淑やかなる殺意
寂しささえ失って
星の数ほどの涙
異世界ばかり夢みる
月までの距離を計測中
むせ返るような死の予感
呼吸ができるまでの辛抱
おまえを信じる馬鹿は居ない
音色は見えないのに
透き通りすぎてゼロになる
臆する病と書いて
生命を土に葬る
追憶を水に葬る
濡れた頬を撫でる
強烈に眩く刹那に暗く
マニキュアが乾くまで
君の葬式には行けない
燃える空に溶かされて
滲む青は海に返る
舌が強かに誘うので
軽薄だと嘲笑って
私はそれを悲しみ嘆く
君に僕を刷り込ませるために
容易く言ってくれる
足をつける場所がない
私達は描くでしょう
青を愛しすぎて空へ還る
死体の浮いた水族館
糸を血で染めればいいさ
インディゴ・エレジー
インディゴ…鮮やかな藍色の染料
エレジー…悲しみを歌った詩などの文学作品
踊るか殺すかレイディー
恋するだけのエナジー
愛のアレルギー
確かに俺は愚かだよ
天才と云う名の凡愚
どうか清廉な君であれ
着服するのは金か身体か
ヘリオスコープのその先で
ヘリオスコープ…太陽観測用望遠鏡
それは神様に由来する
操ってみせるのは終末
白骨は嗤う
胸に溜まった澱み
徳のあるうちに眠れ
涙がこぼれるのに必要な重力
好んで善良を殴打する
未だ理解の外にいる
心があれば目は要らない
二度と交わらぬ善と悪
すべてが想像と虚構の中にある
我々の血液に溶け込んでいたもの
自由を鎖に繋ぐ
浅ましさの応酬
愛を求めて枯れた喉
私と君がいないだけ
もうさよならにしよう
殺し屋は二度嘘をつく
寝室は孤独で出来ていた
時は悲しみをさえ吸い込んで
無かったことにするには遅い
彼誰時、泣きながら目を覚ます
面影を越えてしまった
あまりにも清純な午後
黒手袋に覆い隠して
日曜日のために生きている
あなたの声で聴かせて
溜息の隙間に海を見る
だから好きにならないで
百の薔薇に隠された視界
つまらない幸せを捧げよう
祈っていた内容がわからない
歩く毛布が堕落を誘う
冬はいつでも眠りの底にある
ナイフが傷だけを残すように
どんな奴でも血は赤い
口にする度薄まる言葉
きみの幽霊を住まわせて
僕を置いて幸せになるな
私はこのまま大人になるわ
未だおめおめと生きています
私の心をだけでは足りませんか
朝をおかわり
夜の食べ残し
月に花、あなたに私
干涸らびたクチビル
海さえ抱き締めた包容力
守るには薄すぎる目蓋
洟をすすれば露見する
紅を引いた女だけが笑う
睫毛の隙間に見える闇
あらゆる世界のノンフィクション
いろはにほへとで散っていく
その日、誰かが嘘をついた
ここから月は見えません
歩く速度で死に絶えた
私を追うのは後にして
夜を支配する銀河とは
染色的とも言うべき営み
ここには希望だけが無い
人から与えられた絶望の中で
光だけを求めて死ぬ虫のよう